近年、パワーメーターはプロのレースでなくてはならないアイテムとなっています。一般サイクリスト、中でも肥満サイクリストは縁のないものなのでしょうか?
試してみたくてたまらないアイテムでしたので虎視眈々と狙っていたのですが、シマノ純正で発売されたということで飛びついてみました。
パワーメーターについて
自転車のパワー
人が自転車を漕ぐ時の力(パワー)をW(ワット)と言う単位で表記します。ロードバイクのパワーとは数字に個人差(能力や体重などの要素)があり、他人と大きい小さいを競うものではありません。
肥満サイクリストがパワーメーターで計測すると、走りの内容からすればびっくりするくらい大きなパワーが出ています。とはいえ、数字が大きいにこした事は無いので上を目指すならばトレーニングでW(ワット)を伸ばしていく必要があります。
パワーを伸ばすトレーニングがレースをする人にしかメリットがないかというと、そうではありません。
自分の能力を数値化して視覚化することで客観的なデータを把握できます。すぐ怠けがちな肥満サイクリストにとって頑張ったか、サボってたかがすぐ分かると言うことです。
自分の日頃の走行データからコンディションの把握をすることもできます。また、肥満サイクリストがどのようにパワーを使って走行しているかを数値で見ることができます。
後述しますが、坂道を頑張るととんでもない数値をたたき出します。
パワーメーターの種類
私はこれまで比較的安価な、心拍計内臓型のパワーメーターを購入して使っていました。
サイクリング前半はそこそこ数値も正確ですが、心拍計から計算するためサイクリング後半は体調に左右されて数値が乱れるのが弱点でした。
クランク内蔵型パワーメーター
ペダル型パワーメーター
ハブ内蔵型パワーメーター
代表的なのはこの3つのタイプになるでしょう。
ペダル型はシマノ製ビンディングSPD-SLに対応していないこと、ハブ内蔵型はお気に入りのホイール(ハブ)が使えなくなることで、私は購入の対象から外れていました。
クランク内蔵型パワーメーターは長い間パイオニアの独壇場でしたが、シマノからデュラエースグレードからパワーメーターが発売になるということで即注文しました。
発表から一年待たされるとはその時は考えてもいませんでした。
シマノ デュラエース FC-R9100-P
シマノ デュラエースパワークランク FC-R9100-Pが、ほかのパワーメーターに無い最大の特徴として純正らしいすっきりしたデザインになっているということでしょう。
パワーメーターをつけていることを感じさせないデザインとなっているため、デュラエースで統一したバイクですとまったく違和感がありません。
ANT+で通信するためガーミンなどのサイコンとも相性がよく、何の障害も無く所有するロードバイクに導入することが可能です。
実際に使ってみると、デュラエースクランクそのものなので何の不満も無く使用することができます。
充電方法は、カバーを外してケーブルを接続するだけです。1回の充電で約300時間使用することができます。
クランク中央上部ににあるセンサーのカバーをあけると充電ポートがあります。ここに専用のUSBケーブルを取り付けて充電します。USBケーブルの先端とクランクの接続部にマグネットがあり、取り付けるだけで充電が開始されます。
青色のLEDが消えると充電完了です。
Di2と同じで1Aの使わなくなったUSBアダプターやスマホ用のポータブル電源でも充分に充電できます。
肥満とパワーメータの活用方法
サイクルコンピューターとの連携
クランクでパワーを計測してもそれを表示させないと意味がありません。
シマノ デュラエースパワークランク FC-R9100-Pの情報をすべて表示することができ、走行のログを記録していてくれるサイクルコンピューターがベストです。
現在は、ガーミンのサイクルコンピューター一択となるでしょうか。
走行中にパワーを見続けることはありませんが、自宅に戻ってからの分析がパワーメーターを上手に活用する秘訣です。
FTP値
FTP値(Functional Threshold Power)とは1時間当たりの最大平均W(ワット)数を表した値です。スポーツでよく使われるフィジカルを数値化しています。
FTP計測にはいくつか方法があります。
一般的なFTP値の計測方法は、20分間の最大平均W数から5%差し引いた値
パワートレーニングをするためには必要な数値ですが、20分間ですべての力を出し切ることは肥満体型(特に中年)には危険が伴いますのでオススメはできません。
どうしても算出したい場合は、標準体型だったとしても必ず二人以上で計測を行ってください。
パワーメーターの見方
まったり派のサイクリストはそう考えると思います。FTP値を知らなくてもパワーメーターはとても役に立ちます。
パワーメーターを取り付けたら走ってみて、どれくらいパワー値が出ているか見てみましょう。
私が、平地を30㎞/hで走るとパワー値は140~170Wくらいです。上りは、体重をもちあげていく必要があるので簡単に300Wを超えてしまいます。
・ 174cm98kg
・ 半袖ジャージ
・ TREK Madone 9
パワーの値を見ながらサイクリングをしていると、いくら漕いでも疲れないパワー値が分かってきます。
私の場合は、130Wまでならいつまでも漕げる、200Wを超えると足を使っているなぁ、という値になります。
言い換えると130Wまでなら楽をしている、200Wを超えると頑張っている、ということです。
肥満サイクリストは少しの上り坂でも200Wを超えてしまいます。それでも進まないといけないのでしかたないのですが、パワー値を上げれば速く走れるわけではないので必要以上に頑張る必要はありません。
平地でも意外に進まないという経験があるかもしれません。見た目で分からない緩やかな勾配がある、向かい風が吹いているなど考えられますが、パワー値を見て時速でなくパワー値で走りましょう。
そうすれば平地は時速25kmキープしないといけない等の強迫観念を取り除くことができます。
つまり脚の疲労を視覚で確認でき、ロングライドイベントなどで舞い上がって思わぬ疲労を貯めていたという事がなくなります。
肥満サイクリストの場合、同じパワーを維持しようとすると勾配に応じてスピードの上下がかなり大きい事がわかります。これは裏をかえせば健常者のサイクリングに普通についていくとインターバルトレーニングになりかねないという事です。
ムリのない範囲でパワー値を一定に保って走るように心がけましょう。
道を見ずにパワー値を見ることの効果は、初めての土地でサイクリングするときに役立ちます。いくら漕いでも疲れないパワー値を設定していればどこまででも行けるのですから。
実際のサイクリング中は、残り時間・距離で、頑張る必要が出てきます。それでも、パワー値が分かればエネルギーマネジメントが簡単にできます。
まとめ
ロングライドで体力を温存したり、上りの力加減を効率化してトータルで楽に走れるようになりたい、サイクリストなら誰でも考えることです。
パワーメーターがあれば、無駄な力を使わない走りが簡単に出来るようになります。
10万円程度かかるため優先順位は低いかもしれませんが、肥満だけどイベントによく出る方は導入をオススメします。後半バテにくくなりますよ。
もちろん、標準体型の方もモチベーションUPできてオススメです。