ロードバイクを完成車で購入すると、コンパクトクランクが付いてくることが多いと思います。
ひとりでサイクリングしているときは気づきませんが、集団でサイクリングするようになると周りとのペースが合わなくなる時が無いでしょうか?
特に低ケイデンスで、踏み抜くようなペダリングをする癖がある方は、顕著にスピードに付いていけないことがあるでしょう。
肥満体型の方はもちろんですが、クルクル回すペダリングが苦手な方は、チェーンリング交換でサイクリングが楽しくなるかもしれません。
リアスプロケットと違い簡単に交換できないフロントチェーンリングについて、肥満目線で考察してみました。
肥満や初心者むけロードバイクのギア比とは
ノーマルクランクは重いギアでアスリート向き、コンパクトクランクは軽いギアで初心者向き、よく聞く言葉です。
ギア比の関係はそのとおりで、ノーマルクランクはギアの組み合わせの関係上重いギアとなりアスリート向けではありますが、コースによってはコンパクトクランクを使うこともありコンパクトクランクが初心者向けのみということはありません。
シマノのPCD(Pitch Circle Diameter)
・ノーマルクランク 130mm
・コンパクトクランク 110mm
となっています。
このPCDに合うギアの組み合わせがノーマルクランクの方が大きなギアになるためノーマルクランクの方が重くスピード重視のギア比となります。
フロントのチェーンリングの歯数は数が小ければ小さいほど軽いギアになり、坂道が楽になります
ノーマルクランクの基本的な歯数は53/39、コンパクトクランクの基本的な歯数は50/34程度で販売されていることが多いです。
53/39、50/34は2枚のチェーンリングの歯数の組み合わせです
53や50は外側のアウターリングの歯数、
39や34は内側のインナーリングの歯数を表しています
このように、チェーンリングの大きさで乗り手の脚力がある程度推し量ることができるため、ロードバイク歴の長い方や剛脚自慢の方はチェーンリングの大きさにこだわる方がいらっしゃいます。
ということで、目立つ外側のアウターリングだけ大きなギアを使って、坂道のためにインナーリングを小さくすることを初心者の方は誰もが考えることでしょう。
しかしアウターリングのギアとインナーリングの歯数の差は、シマノの場合「16以内」とされています。
そのため、53-34などの組み合わせにすることはできません。(歯数の差が19)
実力やコースに合わないチェーンリングの大きさにしてしまって、走行中にヘタレてしまっては元も子もありませんので、最適なギア比に調整してサイクリングを楽しみましょう。
コンパクトクランクのメリット・デメリット
シマノのPCD(Pitch Circle Diameter)が 110mmのクランクをコンパクトクランクといいます。
フロントのチェーンリング(アウターリング、インナーリング)の歯数の組み合わせが
50-34以下の組み合わせになることが多いです。
アウターリングが48T・46Tなど、さらに小さいものも存在しますが、最大ギアが軽くなりすぎること(トップスピードの低下)、リアスプロケットの巨大化(30T・32T)により坂道に適した軽いギアができたことなどから最近は見かけなくなりました。
コンパクトクランクはノーマルクランクに比べてフロントのギアの歯数が少なく、ギアが軽くなるために、ヒルクライムが楽になります。
ビギナーだけでなく、プロレベルのライダーでもヒルクライムレースでは使用しています。(楽というよりは適切なギア比の車体の軽量化のために)
そのために、重いギアを踏むペダリングよりも、軽いギアをクルクル回すタイプのサイクリストに適しているクランクといえます。
しかし、脚力のある人や肥満で重いギアをガンガン踏む方が楽だと感じる人にとっては、クランクが回りきってしまい、それ以上のスピードアップができなくなる可能性があります。
下り坂などでは、かんたんに回りきってしまいますし、高ケイデンスが苦手であればそれ以上回せなくなってしまいもっとスピードが出せる状況であったとしても出せなくなってしまいます。
ノーマルクランクのメリット・デメリット
シマノのPCD(Pitch Circle Diameter)が 130mmのクランクをノーマルクランクといいます。
フロントのチェーンリング(アウターリング、インナーリング)の歯数の組み合わせが
53-39以上の組み合わせになることが多いです。
アウターリングが53、インナーリングが39と数字が大きいということは、ペダリングが重たくなるため、コンパクトクランクよりも大きな力が必要になります。
シマノの製品ラインナップには、55-42など普通のサイクリストには必要のないと思われる重たいギアも準備されています。
コンパクトクランクよりもギアは重くなり、坂道がきつくなるでしょう。急な坂が連続するコースがある場合は避けた方が良いクランクといえます。
ノーマルクランクは、平坦な道に特化してハイスピードで走る場合に使用するクランクで一般的なホビーライダーがサイクリングレベルでは使用しない方がよいでしょう。
縛りプレイならば、アウター縛りでサイクリングしたほうが安上がりです
セミコンパクト(ミッドコンパクト)
最近の主流といえば、セミコンパクト(ミッドコンパクト)でしょうか。
シマノのPCD(Pitch Circle Diameter)が 110mmのコンパクトクランクに対応する最大のギアを組み合わせているのが特徴です。
名前のままですが、ノーマルクランクとコンパクトクランクの中間に位置するギアの組み合わせになります。
リアのスプロケットの歯数を同じと仮定すると、最大ギア比はノーマルクランクより低く(軽く)、最小ギア比はコンパクトクランクより大きく(重く)なります。
つまり、平地の巡行時はフロント52Tリア11Tの組み合わせで、ノーマルクランクに近い最大ギア比を使うことができます。
ヒルクライムなどで、軽いギアが必要な時はフロント36Tリア28T(30T・32T)などの組み合わせでコンパクトクランクに近い軽さでペダリングすることができます。
少しロードバイクに慣れた方に、平地・坂道共に最適なギア比を選択することができるために、最近とくに流行しています。
コンパクトクランクを装着していて、セミコンパクトを試してみたい場合で自信が無ければ36Tだけ入れてみるのも良い方法です。36Tで坂道が問題なければ、アウターリングも交換しましょう。
クランクはどれを選ぶ?
クランクの基準が定まっていない方が、クランクを選ぶときに気になることは「コンパクトクランクは貧脚扱いされる」ということではないでしょうか?
これは、まったく当てはまりませんので、この考え方はすぐ捨ててしまいましょう。
先ほども書きましたが、変な見栄で体力や走るコースに見合わないクランクを選択してヘタレることがいちばんカッコ悪いです。
要するに自分の体力やどこを走るかを考えて最適な組み合わせを考えれば良いわけで、他人がどう思うかで選ぶものではありません。坂道に自身が無いような人は迷わずコンパクトクランクを選択するのが良いでしょう。
ちなみに私は、コンパクトクランクでセミコンパクトとなる52/36を使用しています。リアは11T-28T(30T)を使用していて、100kgの肥満体型でも問題ありません。
まとめ
強脚でスピードを出すことが大好きな方は、ノーマルクランクを選択して問題ありません。
もし少しでも、ノーマルクランクに不安を感じるのであれば、コンパクトクランクで大きめのギアを選択してセミコンパクトとして運用するのが良いでしょう。