日本経済新聞に面白いニュースが2019年7月22日に出ていました。
「SMBC日興証券は個人投資家が保有する個別株の値動きを人工知能(AI)で予測し、利益確定売りや損切りのタイミングを通知するサービスを月内にも開始する。」とのことです。
人工知能を利用した値動きの予測が本当にでるのであれば、初心者でも株で億万長者を目指すことも可能です。
AIに振り回されないようにしたいところですが、AIの進化を信じたいと思われる初心者投資家もいるはずです。
このシステムも投資初心者が多いネット取引中心の顧客向けに提供し、若年層を取り込むことを狙っているようですが何か違和感を感じましたので考察してみました。
老後に備えて、投資をしないということは考えられません、一緒に勉強していきましょう→【個人的感想】株式投資を理解しないといけない理由と行動に移る前に抑えておきたい株の仕組み
人工知能(AI)と株価の予測
今回、SMBC日興証券のサービスを開発したのは、将棋のAIを開発している、AI開発ベンチャー「HEROZ」だそうです。SMBC日興証券と共同で、開発したとのことですが本当に予測ができるのでしょうか?
結論からいうと、予測はできるかもしれないけれど、その予測を使って売買しても個人は儲かりません。
SMBC日興証券の人工知能(AI)予測サービスが使えない5つの理由
どうして自己資金を使って売買しないのか?
証券会社には、株式や先物取引のブローカー業務だけでなく、自己の資金を用いて株式や先物取引で収益を出していく、ディーリング業務があります。
顧客へ株を勧めて手数料で稼ぐだけが証券会社の仕事ではないのです。
そんなに優秀なAIが開発できたのならば、SMBC日興証券のディーリング業務で利用すればよいはずです。
ネット取引中心の顧客向けに提供?
素朴な疑問ですが、わざわざ投資初心者が多いネット取引中心の顧客向けに提供するというのも不可解です。
ネット取引ならば、売買手数料も安価でSMBC日興証券の儲けにはあまり貢献しないでしょう。
もし、本当に素晴らしいシステムならば、電話や対面取引を利用していて売買手数料の割高な負担をしている、高齢ベテラン投資家向けに、付加価値として利用しても良いでしょう。
そして、株で損をするとその高齢投資家から面と向かって文句を言われる営業マンが喉から手が出るほど欲しいはずです。
世の中に出た瞬間に情報は陳腐化する
【初心者】株を購入する前に覚えておきたい行動ファイナンスの基本でかんたんに書いているのですが、世界には(金融的に)合理的でない動きをする人がいます。
カオスな動きをする市場で、一般に公開されてしまった情報は既に織り込み済みです。
SMBC日興証券の人工知能(AI)予測サービスがよく当たるのならば、世界の市場に大きな影響を与え、それを元に市場参加者がそれぞれ勝手な動きを始めます。
SMBC日興証券の人工知能(AI)予測サービスがフィードバックされて、市場に影響を与えてしまい、なんの意味もなくなってしまいます。
四季報を読むのと何ら変わりはありません。
「あなただけにとっておきの情報を教えます」とてつもなく怪しい誘い文句ですが、逆に全世界に公表された情報もすでになんの役にも立ちません。
証券会社は市場では敵になる
最初にも書きましたが、証券会社は自己資金でも売買しています。
考えたくないことですが、悪意のあるプログラミングでボロ株を初心者投資家に押し付けることができるかもしれません。
又は、証券会社がインサイダーまがいで情報を仕入れた株を安価にかき集めることができるかもしれません。(妄想ですが)
つまり、こうなります。
SMBC日興証券 | 予測サービス | 初心者 |
株欲しいなぁ | 売り時デス | ほな、売るで |
ヤバいな株手放すか | 買い時デス | マジ?買うか |
お金が絡んでいるということを、忘れないようにしましょう。そして売買についてはすべて自己責任です。
売買は結局自己責任
SMBC日興証券の人工知能(AI)予測サービスを使って損失が出た場合は、誰のせいでしょうか?
当然ですが、売買の判断を下した投資家本人です。
SMBC日興証券には何の責任もありません。売買手数料が入るだけで、痛くもかゆくもないのです。
今回のサービスの主眼は、証券会社に売買手数料が入るようにするために、初心者の売買ツールの補完であって、初心者投資家に売買を繰り返してほしいということです。
それならば、WealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO(テオ)などのロボアドバイザーや投資信託の方がよいでしょう、ファンドマネージャーが名前を出して責任をもって運営しています→【初心者にオススメ】ロボアドバイザーはこれから10年間戦えるのか比較考察してみた
まとめ
結局、何かに頼って売買するくらいならばインデックス投資が個人にはオススメです。
市場の抜け穴を探して稼ぎたい人は、自分自身のロジックを探し出すしかありません。
どうしても、AI取引がしたければ、会社として責任をもってやっているWealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO(テオ)が良いのではないでしょうか。
株式投資、投資信託の損益はすべて自己責任です