なぜそんなことをしてしまったのか・・・
スノーボード用のパラフィンを成形のためラージメスティンで湯煎しました。
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まったく意味のない自信と行動力のせいで、ところどころ黒ずませてしまったメスティンを見たときはもう後の祭り・・・
シーズニングをして育ててきたメスティンが、こんな(目的外使用でしょうもない)黒ずみは論外にしても・・・使い込んでいくことによって黒ずんでしまうこともあります。
失敗を糧とするべく本記事ではメスティンの黒ずみの落とし方、黒ずんでしまう原因、黒ずみに害はあるのか、黒ずませないためについて考察していきます。
メスティンの黒ずみの取り方 結論から言うと
メスティンなどアルミ製の鍋を使っていて、黒ずみができた経験はキャンプなどアウトドアをやられている方はどなたもお持ちでしょう。
焦げ付きのように見えますが、タワシなどでアルミ板が曲がるほど強くこすっても、黒ずみはビクともしません。
メスティンの黒ずみは、アルミ素材が変化してできたものなので、汚れとは違って洗剤で洗っても落ちないため、アルミ素材を再度変化させることで落としていきます。
①酸性食材を用意(家庭にあるものクエン酸・ポッカレモン・酢など)
②メスティンに黒ずんでいるところまで入れて酸性食材を煮込む
③水洗いしながらスポンジで軽くこすると黒ずみが落ちる
④乾燥させる(シーズニングすると良い)
準備するのは、レモンや酢などの酸性食材です。
7〜8分目まで食材を入れ、約15分間沸騰させます。
その後に食材を捨てて柔らかいスポンジでこすります。
この時に煮込んだ食材の酸によって、酸化被膜がなくなってしまいますので、再度、酸化被膜を作ってあげましょう。
基本的にはそのまま乾燥させるだけで大丈夫なのですが、すぐに使いたい場合はシーズニングを行います。
乾いた状態のときに酸化被膜が育っていきますので、空気に触れるようによく乾燥させることが重要です。
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メスティン(アルミ鍋)の特徴とメリット
今更ではありますが、メスティンを使うことで、効率的に料理をすることができます。
その理由は熱伝導率が非常に高いことにより、食材に満遍なく熱が伝わり素早い調理を可能としているからです。
アルミは、酸素に触れることで「酸化皮膜」という保護膜を作って腐食を防ぐ性質があります。
メスティンを育てて愛着を持って使っている人が多い理由は、アルミでできた調理器具はアルミ自身の修復作用によって非常に長持ちするという特徴があるからです。
・美味しく調理できる
・上手に使えば長持ち
メスティン(アルミ鍋)を長持ちさせるために
メスティンの黒ずみの原因はアルミ表面の化学反応
アルミ表面には自己修復作用として「酸化被膜」が作られています。
アルミニウムが空気に触れると酸化してできる「酸化被膜」は、これはアルミを腐食などのダメージから守るためにできているバリアようなもの。
市販のアルミ鍋には強力な酸化被膜である「アルマイト加工」が施してありますが、アルミ無垢の鍋であるメスティンには自然な酸化被膜しかありません。
酸化被膜が何かの原因で破壊されアルミがむき出しになってしまったまま調理を続けると、アルミ表面と水が反応して水酸化アルミニウムができてしまいます。
水酸化アルミニウムは黒ずみが発生する前に、白い汚れのようなものを発生させます。
写真の中の白い点、これがアルミと水が反応してできた白い粉状の水酸化アルミニウムです。
さらに調理を続けると、様々な化学反応が進みメスティンをどんどん黒ずませてしまいます。
メスティンの黒ずみは、この水酸化アルミニウムが水の中に含まれているミネラル類と反応してアルミにこびりついてしまった状態なのです。
アルミ鍋が黒ずんで行くことを「黒色化反応(黒色化現象)」といいます。
むき出しのアルミ地と水が反応して水酸化アルミニウムが生成される
↓
水酸化アルミニウムが水の中のミネラルと反応して黒ずみを発生させる
デリケートなアルミ鍋
メリットの多いメスティンなどのアルミ鍋ですが、アルミ鍋の酸化被膜を壊さないために気をつけたいことがあります。
メスティンの黒ずみを作るNG行為 ①空焚き
空焚きはアルミ鍋を守っている「酸化皮膜」にダメージを与える原因となります。
これは、アルミの地肌と酸化皮膜の膨張率に違いがあるためです。
酸化被膜の保護がなくなってしまったアルミは水と反応して、「黒色化反応(黒色化現象)」をおこしてしまいます。
そもそも、空焚きはスキレットのような鋳物を除いて厳禁です!
アルミは融点も低くデリケートな金属であることを理解して使わないといけません。
メスティンの黒ずみを作るNG行為 ②アルミよりも硬いもので洗う
メスティンを焦げつかせてしまった場合、金属タワシでゴシゴシこすっていませんか?
アルミの地肌に傷が付くのはもちろんですが、酸化皮膜も削り取ってしまいます。
金属製のタワシやヘラ、クレンザーなどの磨き粉を使ってゴシゴシ洗うことは、アルミの地肌に傷が付き、酸化被膜を壊す原因となりますので厳禁です。
中性洗剤と柔らかいスポンジでやさしく洗いましょう。
メスティンの黒ずみを作るNG行為 ③重曹を使って洗う
重曹は掃除などでよく使われ、汚れ落としとして候補に挙がりそうですがメスティンには厳禁です。
重曹のpHは8.5で、弱アルカリ性の食材です。
アルカリ性の食材を煮込んだ時に黒ずみは作られていきます。
つまり、黒ずみ落としとは真逆の行為をしていることになります。
メスティンの黒ずみを作るNG行為 ④継ぎ足しでお湯を沸し続ける
今回メスティンの黒ずみを作った原因はまさにこれです。
水道水を煮詰めていくと、しだいにアルカリ性に偏っていってしまいます。
パラフィンの湯煎なんて日頃なかなか無いシチュエーションかと思われるかもしれませんが、ストーブの上に鍋を置いて加湿器代わりにされることはないでしょうか?
ついついやってしまいがちですね・・・
メスティンの黒ずみを作るNG行為 ⑤食材の放置
食品の中には酸性、アルカリ性など様々な性質を持っています。
アルミの地肌は強酸性、強アルカリ性に弱い性質があります。
身近な食材で有名なところでは、ゆで卵を作ったときに殻に含まれるアルカリ性の「炭酸カルシウム」などがあります。
調理した後、長時間放置することでアルミの地肌にダメージが蓄積されます。
黒ずみに健康被害はないのか?
この記事を読まれている方は、同じようにメスティンをを黒ずませてしまった方だと思いますが、結論から言えばメスティンを黒ずんだまま使用しても人体に害はありません。
「黒色化反応(黒色化現象)」と言うと大げさな感じがしますが人体には無害です。
生成された水酸化アルミニウムが人体に害をなすかどうかということですが、水酸化アルミニウムは人体にも害となる成分ではありません。
さらに水酸化アルミニウムは水溶性ではなく、たとえメスティンにに黒ずみがあったとしても、料理に溶け出して口に入ることはありません。
しかし、黒ずみのせいでせっかくおいしい料理を作っても、黒ずみのせいで何だか写真映えしないなんてことにならないようにしたいものです。
黒ずみは結局のところ気分の問題で放っておいてもかまわないのですが、食材を調理したのではくパラフィンで黒ずんでしまったのでちょっと気味が悪くて・・・・
アルミ鍋の研究を兼ねてラージメスティンの黒ずみを実際に取ってみることにします。
メスティンの黒ずみをとってみた
酸性食材の準備
メスティンの黒ずみは酸性食材で落とせることを記事の最初で書きました。
酸性とアルカリ性を示す値にpH値があることはご存知と思います。
pH値は0~14で酸とアルカリの強さを示して、真ん中の7が中性です。
0に近いほど酸性度が高いためpH値が小さい食材を探せばよいことになります。
家庭にありそうな酸性食材には
・酢
・ワイン
・クエン酸
・ポッカレモンなどレモン汁
・レモン
・リンゴ
・紅生姜
・ヨーグルト
・梅干し
・トマトジュース
・コーラ
・トマトケチャップ
などがありますが、現実的に使えそうなのはクエン酸、レモン汁、リンゴ、酢、といったところでしょうか。
メスティンの黒ずみ取り
我が家にあるレモンと、ポッカレモンをとりあえず準備しましたが、レモンはまるまる手付かずの状態でポッカレモンは残り少なくなっていました・・・
というわけで使うのが惜しくなり、醸造酢を使って黒ずみ取りをすることにしました。
黒ずみのある部分まで酢を入れます。
15分間沸騰させます。これだけで少し黒ずみがとれたような気がします。
柔らかいスポンジでやさしく洗うと黒ずみはほとんど取れました。
新品の時のようにピカピカになるまでやる必要はないと思いましたので、かんたんに黒ずみ取りを終わらせました。
水分をふき取って乾燥させて、米のとぎ汁でシーズニングを行って黒ずみ取りは終了です。
黒ずみを落とした後のメスティンは水気をふき取って、しっかりと乾燥状態にさせておくことで、アルミ地肌に一時的に酸化被膜ができます。
酸素にふれないと酸化被膜はできませんのでしっかり乾燥させておきました。
酢を煮込むと悪臭がすごかったので、やはり定石通りクエン酸をオススメします
メスティンの黒ずみ取りのまとめ
メスティンの黒ずみの原因と、黒ずみの落とし方やNGな使い方の考察をしてみました。
かんたんに黒ずみを取ることができることを、ご理解いただけたと思います。
黒ずみを恐れすぎていては美味しい料理はできません。
いつでも黒ずみを取ることは可能ですのでガンガン使い倒していきましょう。
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